昨年、雨で断念した長野県茅野市にある「御射鹿池(みしゃかいけ)」に、この夏、行くことができました。
きっと、どこかで目にしたことがある、東山魁夷の「緑響く」の絵のモチーフとなった場所。
静けさの中に広がるエメラルドグリーン。
木々の香りが、広がる。
東山魁夷の絵画の中に迷い込んだような不思議な感覚。
水面をキラキラと反射させながら、風が通っていくのが見えた。
長野県立美術館より
https://nagano.art.museum/hkg-collection
≪緑響く≫ 1982年 / 蓼科高原・御射鹿池
一頭の白い馬が緑の樹々に覆われた山裾の池畔に現れ、画面を右から左へと歩いて消え 去った―そんな空想が私の心のなかに浮かびました。私はその時、なんとなく第二楽章の旋律が響いているのを感じました。
おだやかで、ひかえ目がちな主題がまず、ピアノの独奏で奏でられ、深い底から立ち昇る嘆 きとも祈りとも感じられるオーケストラの調べが慰めるかのようにそれに答えます。白い馬 はピアノの旋律で、木々の繁る背景はオーケストラです。
『東山魁夷館所蔵作品集』1991年